建築設備

設備屋という仕事、第3回「建設業の生産性」

建設業って生産性が低いと言われています。

建設業の労働生産性(実質国内総生産額/(就業者数×1人当たり年間総労働時間)で算出)は2019年、3,008円です。

全生産業の平均値は4,799円なので、大きく下回っています。

なぜ、建設業の労働生産性が低いのでしょうか

受注生産

建設業は受注生産です。

こういう建物を作って欲しいという依頼があり、受注して施工し引き渡します。

同じ建物は無く、完全に一品受注生産です。

同じものをたくさん作るほうが生産性が上がるのは当然ですよね。

毎回違うものを作るのですから、その都度やり方も変わります。

同じような手順で作りますが、全く同じということはありえません。

なので、その都度試行錯誤し、不具合も発生し、生産性が落ちます。

重層下請構造

建設業は重層下請構造です。

設備工事でいうと、元請けがゼネコンとすると、1次下請けが設備業者。

2次下請けには、配管屋、ダクト屋、保温屋、自動制御屋・・・等々。

その下に、配管工を抱える配管屋とか、個人事業主とか、一人親方とか。

元請けからみると、4次下請けとか普通にあります。

それぞれの会社に、経費や利益が必要で、それがコスト増、生産性の低さにつながっていると考えられます。

利益衝突

これだけ多くの会社が工事に参加し、各々が自分の会社の利益を追求しようとすると、当然衝突もあります。

それらをまとめるのがゼネコンの仕事ですが、ゼネコン自身も利益を追求しようとします。

発注者の立場が強いのは、建設業だけに限ったことではないですが、ゼネコンの力に下請け業者がかなうわけがありません。

そうやって、ゼネコンに利益を吸い取られ、下請け業者は細々と利益を確保する他ないのです。

これが、建設業の実態でしょうか。

生産性を高めるには、少ない労力で大きな生産を生み出すほかありません。

生産性向上にはどうすれば

では、生産性を上げるにはどうすればいいのでしょうか。

最近は徐々にIT化が進んで、現場担当者もIpadも持つのが当たり前になって来ています。

写真管理や情報の共有に役立っているとは思います。

しかし、まだまだ施工管理には人手が必要で、品質管理のためのチェック、確認は人の手によるものが必要です。

そこで、筆者が考える生産性向上策は、パート・アルバイトの導入です。

建設業に従事している労働者に、パート・アルバイトの方はほとんどいません。というか、そういう雇用形態を見たことがありません。

なぜでしょうか。確かに職人は専門職で、ある程度の技術が必要ですが、施工管理業務でマニュアルさえあればパート・アルバイトでも出来る仕事はあります。

建設業の施工管理で、派遣社員を受け入れると、未経験でも基本給で40万以上、交通費と残業代を入れると、月60万、70万掛かることも普通にあります。同じ未経験者をアルバイトで雇うと、もっと安く労働力を得られるのではないでしょうか。

法律の細かい所は分かりませんが、なんとなくそんなことが出来ないかなあと思います。

最後に

とにかく建設業は、建物ごとに作るものが違う受注生産で、マニュアル化が難しいですが、その分ムダもいっぱいあります。

全く同じ建物を、もう一つ作ったとしたら、2つ目はコストを大幅に下げることが出来るでしょう。

マンションに特化した長谷工は、そういう点で他社よりも低コストでマンション建設をしているのではないでしょうか。

これからも、建設業の生産性向上を考えていきたいと思います。

それでは、最後まで読んで頂きありがとうございました。

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