今回は書評、”嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え”についてです。
フロイト、ユングと並ぶ心理学界の三大巨匠のアルフレッド・アドラーの教えを、哲学者と青年の対話篇形式によっての思想を解き明かしていきます。
著者は、岸見一郎氏と古賀史健氏で、日本人著作でありながら世界40カ国で翻訳され、シリーズのもう1冊「幸せになる勇気」と合わせて1000万部という大ベストセラーです。
そんな、「嫌われる勇気」を紹介していきます。
トラウマは存在しない
アドラー心理学では、トラウマは存在しないと言います。
本の中で青年が、引きこもりの友人の話をします。おそらく小さいときのトラウマから外に出ていくことが出来ないと。
哲人は言います。外に出ていかないという目的を達成するために、過去のトラウマを理由にして不安や恐怖を自ら作り出していると。
厳しい言い方ですが、アドラーは、「これまでの人生になにがあったにしても、今後の人生をどう生きるかについて何の影響もない」と言っています。
過去にどんなトラウマがあったとしても、大事なことはこれからどう生きるかであって、変えられない過去のことを考えても仕方がないということです。
そうは言っても・・・って感じもしますが。
全ての悩みは対人関係

アドラー心理学では、全ての悩みは人間関係であるといいます。
この宇宙にあなたしか存在しないとしたら、全ての悩みは無くなるというのです。
しかし、そんなことはありえないので、どうやって克服するかと言うと、周りの人間を敵ではなく、仲間と思えと書いています。
そのために必要なことは、”勇気”であるということです。
これだけでは、ピンとこないですよね。
承認欲求を否定する
アドラー心理学では、他者から承認を求めることを否定しています。
我々は、他者の期待を満たすために生きているのではないと言っています。
他人が自分のことをどう思おうが、それは「他者の課題」であって、「自分の課題」ではないということです。
ここで、「嫌われる勇気」というワードが出てきます。
対人関係のカードは常に「わたし」が握っています。
対人関係を変えるために出来ることは、「わたし」が変わることで、これに対して相手が変わらなくても、それは「他者の課題」であって自分が関与することではないということです。
対人関係のゴールは「共同体感覚」

哲人は、「課題の分離」が対人関係の出発点であると言います。では、対人関係のゴールは何かというと、「共同体感覚」であると言っています。
自分は世界の中心ではなく、共同体の一部であり、他人が「わたしに何を与えてくれるか」ではなく、「わたしはこの人に何を与えられるか」を考えなければならないと。
そして、すべての対人関係を「横の関係」にすることを推奨しています。
他者との関係を上下関係ではなく、対等であると考えます。
そのために、他者を褒めてはいけないし、叱ってもいけないと。褒めることも叱ることも上下関係からくる態度だからです。
褒めても叱ってもいけないとしたら、他者に対してどうアプローチすればいいか、それは、「ありがとう」と感謝を伝えることです。
人は感謝の言葉を聞いたとき、自らが他者に「貢献」できたと感じます。
この「貢献」が「共同体感覚」にとって非常に重要な感覚だということです。
「いま、ここ」を真剣に生きる
「共同体感覚」とは、私はここに居ていいんだという感覚、他社に対して貢献出来ているという感覚ということですが、
果たして人は、それだけで幸せになれるのでしょうか。人は、もっと高尚な目標を持って人生を生きないといけないのではないか。そういう疑問が浮かんできます。
これに対して、アドラーは、目標は今を一生懸命生きた先に、気づけば到着しているもので、目標のために人生を生きてはいけないと言っています。
この辺りは難しくて、上手く伝えられるか自身がありませんが、哲人の言葉でいうと、人生とは連続する刹那で、いまこの瞬間をダンスするように生きる。
ダンスを踊っているいまが充実していればそれでいいと言います。
山頂を目指している登山家が、登頂に失敗し、頂上に立てなかったとしても、それまでの行程は決して無駄ではなく、充実していればそれでいいということです。
そのために、「いま、ここ」を真剣に生きることが大切であると。
最後に
どうですか、アドラー心理学を理解できましたか。
あなたの人生はあなたのもので、あなたの人生を変えられるのはあなたしかいません。
他者の承認を気にせず、いまを真剣に生きましょう。
それでは、最後まで読んで頂きありがとうございました。