建築設備士ってどんな資格でしょうか?
設備屋の間では、難しい資格の代表として知られています。
一級建築士にも引けを取らない言われたりして。
そんな建築設備士を取得するにはどうすればいいのでしょうか。
この記事では、建築設備士の概要から、資格取得のポイントまでわかりやすく説明していきます。
目次
建築設備士とは?
建築設備士とは、建築士法の第2条で、「建築設備に関する知識及び技能につき国土交通大臣が定める資格を有する者」と定義されています。
そして、その役割として、建築士法第18条で、「延べ面積が二千平方メートルを超える建築物の建築設備に係る設計又は工事監理を行う場合においては、建築設備士の意見を聴くよう努めなければならない」とされています。
なんでしょう、これは。さっぱり分かりません。
よく言われるのは、転職に有利とかでしょうか。
確かに、この資格を持ってるということは、それなりに知識があるということは分かります。
あとは、設備会社に勤めている場合、経営事項審査の点数に加算されるため、会社が公共工事に入札する際に有利になるため、会社によっては手当が出るかもしれません。
建築設備士の取得
建築設備士の資格を取得するには、どうすれば良いのでしょうか。
建築技術教育普及センターが年に一回、試験を実施していますので、受験申し込みをして試験を受けてください。
だいたい3月までに申し込みを送って、6月に一次試験が実施されます。
それでは、試験の申込みから受験まで、詳しく解説していきます。
受験資格
受験資格については、細かく規定されていますが、ざっくり言うと学歴と資格と実務が必要になります。
主なところで言うと、大学の指定学科卒+実務経験2年以上であるとか、一級管工事施工管理技士+実務経験2年以上とか、または実務経験のみで9年以上とかです。
受験資格に学歴を採用する場合、学校の卒業証明書が必要なので申し込み期日を考えて早めに準備しておきましょう。
また、令和3年以降の「第一次試験」に合格した場合、次の年から続く4回のうち任意の2回(同年に行われる「第二次試験」を欠席した場合は3回)について、「第一次試験」が免除になります。(第一次試験合格の有効期間は5年間)
合格率
令和3年度の建築設備士一次試験合格率は、32.8%で、二次試験合格率は52.3%です。
だいたい平均すると、一次試験が30%前後、二次試験が50%前後です。一次試験は会社に受けさせられたけど全然勉強できずに、とりあえず受けただけって人も少なからずいるので、一次試験もそこそこ勉強してる人では50%ぐらいじゃないかと思います。(個人の意見です)
とはいえ、二次試験まで含めた合格率は15〜20%なので、なかなかの難関です。
申し込み
受験の申込みは原則、インターネットからの受付のみになります。
私が受験したときは当然、書類の郵送でしたが。
令和5年の場合は、2月27日(月曜)午前10時から3月17日(金曜)午後4時が受付期間でした。
早めに準備しておきましょう。
建築設備士の試験内容
一次試験(学科試験)
一次試験は、建築一般知識、建築法規、建築設備の3科目です。
四択のマークシート方式で、建築一般知識が27問、建築法規が18問、建築設備が60問の計105問です。
制限時間は、建築一般知識、建築法規が2時間30分で、建築設備が3時間30分です。
一次試験では、法令集の持ち込みが可能なので、必ず準備してください。
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二次試験(設計製図試験)
二次試験は設計製図試験です。試験内容は、建築設備基本計画が11問、建築設備設計が5問出題され、制限時間が5時間30分です。
5時間30分ですよ!途中、昼食も自由です。
二次試験は、毎年テーマが決められていて、令和4年でいうと「市民センター(ZEBを目指した建築物)」となり、この建物の基本設計を作っていくという問題になっています。
建築設備基本計画の11問が必須問題で、様々な設備に関して概要やポイントを記述する内容になります。
建築設備設計の5問は選択問題で、「空気・換気設備」「給排水衛生設備」「電気設備」の中から一つを選びます。
問題の内容は、選択した設備に関する計算問題や、プロット図、平面図、系統図等の作成になります。
5時間30分あっても、全て回答しようとすると、結構時間足りないので大変です。
合格のポイント
一次試験も二次試験も、基本的に対策は、過去問でしょう。
建築設備会社に勤めている方なら、得意分野が空調であったり、給排水であれば、苦手分野の建築や電気の対策が必要でしょう。
また、一次試験の合格発表から二次試験の試験日まで約1ヶ月しかないので、二次試験の勉強をする時間が無く、非常に厳しいです。
私自身も、二次試験合格したのは、一次試験を合格した次の年です。
一次試験を合格した年の二次試験は見事に落ちました。
おすすめの問題集はこちら。
1次試験の勉強方法
一次試験の建築一般知識は、建築の分野から満遍なく出題される感じなので、過去問を中心に、自分の不得意分野を重点的に行う感じでいいでしょう。
仕事で実務をされている方でも、聞き慣れない単語が一杯でてきますし、専門以外の分野は勉強しないと難しいと思います。
あと、常識的な数字を覚えることも大切です。
建物の延べ面積に対する機械室やシャフトの面積の割合であるとか、建物におけるエレベーターのバンク数であるとか、居室の換気風量に関する数値とか、挙げていけばキリが無くなります。
建築法規は、法令集を見ることが出来るので、細かい数字を覚える必要はないですが、問題を読んで、それが法令集のどこに書かれているかがすぐに分かることが大切です。
私は法令集に付属の見出しを貼るのはもちろんですが、過去問に出題されているところを、法令集にアンダーラインを引き、付箋を貼りました。
法令集をあちこちめくっている間に時間がどんどん経ってしまいます。
2次試験合格のポイント
二次試験は、記述と製図問題なので、これも過去問中心なのですが、実際に書いてみることが大切です。
過去問と模範解答を読んだだけでは、頭には入ったつもりになるのですが、実際に回答を書こうとすると、なかなか書けないものです。
それと、ヤマをはることも大切です。
邪道かもしれませんが、出題範囲が広いことと、毎年テーマが事前に発表されるので、この建物であればこういう設備ではというのがある程度予想されます。
そういう意味では、二次試験の講習会に参加するのも非常に有効だと思います。
まとめ
いかがですか。
難しい資格ではありますが、持ってて損はありません。
ぜひチャレンジしてみてください。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。